レポート「What’s AZEC?」公表 

 

Climate Integrateは本日、レポート「What’s AZEC ?:アジア・ゼロエミッション共同体とは?」を公表しました。 

AZECは、2023年3月にアジアのカーボンニュートラル/ネット・ゼロ排出に向けた協力を推進する枠組みとして発足しました。発足以来、4回のハイレベル会合が開催され、共同声明、200件を超える覚書、新たな組織の設立、10カ年行動計画などが発表・決定されています。 

本レポートでは、公表情報に基づいて「AZECとは何か?」を解説し、AZECで締結された覚書について分析しています。 

【本レポートのポイント】 

AZECの首脳会合と閣僚会合で公表された合計217件(重複を除く)の覚書案件について、参加国、協力分野、参加主体の3つの観点から分析を行い、以下の結果を得ました。

  • 参加国別では、217件すべてに日本の公的機関や企業が関わっています。締結相手のうち、インドネシアの公的機関や企業が全体の4割を占めています(図3)。  
  • 協力分野については、全体の3割が燃料に関する協力(水素・アンモニア、バイオマス・バイオ燃料、液化天然ガス(LNG)、合成燃料など)で、最も多いのは水素・アンモニアに関する協力であり、火力部門に利用されるものもかなりあります。再エネや省エネの案件は全体の1割未満です(図4)。 
  • 日本の参加主体の中では、政府関係機関の割合が最も多く(43件)、エネルギー企業(35件)をはじめ民間企業の幅広い業種がそれぞれ10件以上の覚書を締結しています。
  • 相手国の参加主体は、エネルギー企業が90件(41%)と突出しています。 

(執筆者コメント) 

小俵大明プログラム・ディレクターは、 
「日本の関心の中心は、AZEC参加国において様々な燃料のサプライチェーンを構築することや、火力部門における水素・アンモニア混焼技術に代表される、日本の技術を輸出することにあると見ることができます。化石燃料や火力発電に関する事業は、排出削減効果や費用対効果に関する検証が求められると考えます」と指摘しています。 

サルマ・ラギニ研究員は、 
「今後日本が、アジアにおける脱炭素化に有意義な貢献をするためには、パリ協定に基づく1.5℃目標と整合する事業を支援することが必要だと考えます」とコメントしています。 

平田仁子代表理事は、 
「今後のAZECの事業では、排出削減の費用対効果が高い再エネや省エネなどの技術支援を拡大させること、さらにAZECに対する資金支援や支援事業の進捗状況の公開を進めることが重要です」と話しています。